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多賀雄神社総合施設計画 呉市苗代町 平成18年(2006年)竣工 |
鎮守の杜の総合施設計画です。
本殿を保存するための解体修理を機に、境内諸施設の整備を行わせていただいたものです。
江戸時代後期の様式を持つ本殿は、祓い殿と一体となった独特の形式を持つものでした。
本殿は、春日造り風の3間社で、3間四方の祓い殿が一体につながり、本殿の向唐破風の向拝が、祓い殿の中に収まるという、興味深い形式を持っています。
明治期に、これらと離れて、現在の拝殿が建てられましたが、さらに両者をつなぐ祓い殿が建てられて、複雑な空間構成を持つものになっていました。
これらを整理して使いやすい空間に編成し直すということが、本工事でいただいた課題です。
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拝殿前庭
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本殿・祓い殿の解体修理と移動
本殿および祓い殿は、経年による損傷が進み、抜本的な修理が必要でした。
解体修理を機に、祓い殿正面の建具等、失われていた細部を復元して、文化財としての価値を維持するよう腐心しています。
全体の空間構成から、1mほど後退させ、さらに基壇を一段加えることになりましたが、自然石積みの基壇は、そのまま積み直し、旧状を保存するようにしています。
本殿屋根に新たに千木が載せられました。
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本殿・祓い殿と拡張された渡り殿
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本殿背面
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祓い殿と拝殿をつなぐ渡り殿は、増築を重ねたもので、不便の多いものでしたので、拡張し改築しました。
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銅板で葺かれた拝殿
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拝殿の修理と屋根替え
拝殿は、明治初期のもので、地域色の強い、よい建物でした。
本来の茅葺きの上に鉄板を被せていましたが、台風により随所に損傷を受け、雨漏りもはじまっていました。
この度の補修で、古い茅を取り除き、銅板に葺き替えましたが、古い小屋組はそのまま残し、旧材の隙間に新たな小屋組を組むことで、旧状を保存しながら、茅葺き屋根の形状を受け継ぐ形にしています。
棟梁苦心の工夫された屋根です。 |
拝殿 渡り殿 祓い殿 |